非正規労働者131万人減、過去最大「雇用の悪化は長期化する」

01-経済(NEWS)

 総務省が1日発表した7月の労働力調査によると、就業者数は非正規労働者が前年同月比131万人減の2043万人と、過去最大の下げ幅だった。

正規労働者は減っておらず、非正規が雇用の「調整弁」としてしわ寄せを受ける傾向が鮮明になった。専門家からは「雇用の悪化は長期化する」との見方も相次ぐ。

◆派遣社員は16万人減…雇用維持要請でも減少止まらず

  非正規労働者の就業者数は3月から5カ月連続の前年割れ。内訳をみると、パートやアルバイトが大きく減ったほか、派遣社員が16万人減と過去最大の下げ幅に。

政府は6月末の派遣契約の更新を前に雇用維持を会社側に要請していたが、減少は止まらなかった。 男女別にみると、非正規が多い女性への影響が目立つ。

季節的な変動要因を除いた前月比で、就業者は男性の29万人増に対し女性は18万人減、逆に失業者数は5万人減に対し8万人増。女性が仕事をいったん諦める「非労働力化」の傾向も出た。

◆正規は雇用維持、残業時間は1990年以降最小

 正規労働者については「企業が就業時間を抑えて雇用を維持している傾向がうかがえる」(総務省担当者)。実際に5、6月の残業時間が比較可能な1990年以降で最少になっている。 

一方で厚生労働省によると、コロナ関連の解雇・雇い止めは8月末に累計5万人を突破。

職を求める人に対し求人がどの程度あるかを示す有効求人倍率(季節変動要因除く)は1.08倍と7カ月連続の低下で、6年3カ月ぶりの低水準だ。

東京都も1倍を割った。完全失業率は2.9%(同)と依然低水準だが、労働市場の悪化は続いている。

◆「正規労働者も削減が進む」

 第一生命経済研究所の星野卓也氏は「非正規労働者の削減は過去の景気後退時と同じような状況」と指摘。

大和総研の田村統久むねひさ氏は「来年度になっても経済はコロナ前の水準には戻らないとみており、正規労働者も採用を絞るなどして削減が進む」とみている。

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